6.目を瞑って?
「目を瞑って?」
(何をする気だ、クリーオウ……!)
戸惑っているのではない。
思わずそう心の中で叫ばずにはいられないほど喜んでいるのだ。
もう彼女に問い返す言葉などありはしない。
クリーオウになら、何をされても良かった。
何も言わずに目を瞑り、ソファに深く座ったままその時が来るのを待つ。
しかし、なかなかこれといった感触はやってこない。
視覚以外の感覚を研ぎ澄ませているが、体のどこにも反応はなかった。
はっきりしているのは、クリーオウが近くにいるのがわかるというだけだ。
(キス……にしては離れているのは不自然だ。じゃあ他に何がある?)
オーフェンの脳内には『目を瞑って』と言われればキスをするしか結びつかない。
一秒が一分のように長く感じられ、オーフェンの忍耐は尽きかけていた。
待ちきれず目を瞑ったまま立ち上がって、クリーオウの入る方を探る。
オーフェンには彼女のいる場所が、視界が閉じていても簡単にわかる。
クリーオウのお願いは叶えてやったまま、本能の赴くまま柔らかい体を抱きすくめた。
「まだ?」