5.今日は甘えさせて?
「今日は甘えさせて?」
甘えたいのは今日だけだろうか。
オーフェンにしてみれば毎日だろうが甘えてきてほしいのだが、それは贅沢なのだろう。
いつも自由気ままなクリーオウのことなので、甘えたいと思ってくれただけでも僥倖に恵まれたといえる。
それにしてもこの甘えさせてというしぐさが何ともまた愛らしい。
オーフェンはくすりと笑って、彼女を自分のひざの上に乗せた。
長い金髪を指で絡めてもて遊ぶ。
「何がしたいんだ?」
鼓動は限界に近い速度だったが、余裕を装って聞いてやる。
こういう時は落ち着いた態度を示さないと、甘えたいと思わなくなってしまうだろう。
良くわからないが、何となくそう考える。
「ん?」
なかなかクリーオウが話したがらないので、意地悪い雰囲気で促す。
ついでに、彼女のかわいい耳を甘く噛む。
「やっ!」
クリーオウは驚いて彼から離れようともがくが、オーフェンが許すわけがない。
なぜなら今日は思う存分甘えさせてやろうと決めたからだった。
「希望がないなら俺の好きなようにするが、それでもいいんだな?」