1.寝る前にキスして?
「寝る前にキスして?」
そんなことをクリーオウに言われたら、即座に精神崩壊を起こすだろう。
否、起こしてもいい。
というよりすでに崩壊した。
もちろん寝る前には毎日キスをしているが、だからといってわざわざそれを指摘する必要があるのだろうか?
無論、あるわけがない。
オーフェンは彼女の肩をがしっと掴み、真剣に返した。
「もちろん何百回でも何時間でもしてやる。いや、させてくれ。てゆーかキスだけでいいのか?」
「どういう意味?」
首をかしげて素直に質問されれば、喜びのあまり叫び出しそうになる。
この無垢さがたまらない。
丹念に教えてやるか否か。
どちらでも楽しいが、あえて純情な方を取る。
つまり、キス以上のことは内緒にしておく。
いずれ――数分後にでも――気づくだろうが、その時はその時でいいだろう。
「いや、いい。それよりクリーオウ、まだ眠くないか?」