4.腕の中にいさせて?
「腕の中にいさせて?」
何でそんなにかわいいことを言うのだと、オーフェンは本気で悩んだ。
悩みはするが、Yes.No.の選択肢など、はなからない。
オーフェンが悩む理由は、なぜこんなにも彼女がかわいいということにあった。
ともあれ、クリーオウが自分の腕の中にいたいというお願いは大歓迎である。
「あ、ああ。おいで」
とまどいつつも、オーフェンはやや腕を広げる。
全開に広げて、彼女がためらってしまわないようにとの彼の配慮かつ計算だった。
それは狙い通りだったのだろう。
彼女は嬉しそうに、オーフェンの胸へ飛び込んできた。
(柔らかい……)
何度経験しても感動せずにはいられない。
オーフェンは素早くクリーオウを抱きしめると、うっとりと愉悦した。
このまま押し倒したりしたら彼女は怒るだろうか。
怒るだろうなと考えて、金髪に顔をうずめるだけに思いとどまる。
……ただ、オーフェンは何だったか重要なことをしなければならなかったのだが、今の衝撃ですっかり忘れてしまった。
確か仕事関係だったはずだが、何も浮かんでこない。
けれどまた、いつか思い出すだろう。
「ま、いっか」