2.大好きと言わせて?
「大好きと言わせて?」
それを聞いて、オーフェンの目から知らない間に滝のような涙が流れていた。
大切な言葉であればあるほど、その言葉は深い意味を孕み、気軽に言えなくなってしまう。
彼女を好きで好きでたまらないオーフェンでさえ、未だに照れて言えないのだ。
その言葉を告げるには、計り知れないほどの勇気がいる。
並みの『好き』では口に出せない。
彼女の方がオーフェンよりも先にそう言ってくれると思うと、嬉しいやら自分が情けないやら。
まだ助走でしかないというのに、涙が止まらなかった。
泣いているのもまた恥ずかしくて、必死で嗚咽になるのをふせぐ。
声になどならないので、オーフェンはただ何度もうなずいた。
本当に情けない。
クリーオウはそれを見て、少しはにかむように笑った。
「大好き」
オーフェンにだけ聞こえるような小さな声で。
けれど、それだけで充分だった。
彼女の言葉は心の中でこだまして、また泣けてくる。
「早く俺も言えるようになりたいよ」