3.お揃いのもの買って?
「お揃いのもの買って?」
出先でそうねだられたら、オーフェンは何と応えるべきだろうか。
@「いいぜ、何にする?」口調はクールに、しかし心の中はウキウキ。
A「まったく、お前は」呆れたように、しかし否定しない。
B「……バカ、やめろ」照れて突き放すように却下する。
家の中ではないので、ここでは人目がある。
若さで何でも許されるような学生ではないので、外で堂々と無様なまねをするわけにもいかない。
かといって、Bの案はもったいないのでありえない。
誤ってBを選び、クリーオウを悲しませたら一大事だ。
そして@のように応えて、バカだと思われたくないし、第一お揃いのものを選ぼうと自分から誘うのも格好悪い。
「……まったく、お前は」
というわけで彼はAを選んだ。
しかしAは否定していると勘違いされる、リスクのある答えである。
「どれにしよっかな」
(――よし!)
どうやら彼女は無事、肯定と受け止めてくれたようだった。
彼と彼女の心がしっかりと通じている証拠である。
さて、では何をおそろいで買うべきだろうか?
@服 Aアクセサリー B食器 Cさいふ Dその他
店内に数は少ないけれど、ペアにするような品はいくつかそろっていた。
オーフェンと一緒に一通りながめ終え、クリーオウはくるりとこちらを向いた。
「あんまり気に入ったのなかったから、また今度にしない?」
「……え?」