ここではない別の世界のある場所に、 ひとりの青年がおりました。
晴れた日に青年が散歩をしていると、 知らないおばさんが背後から声をかけてきました。
「ねぇ、あんた。可愛い花を育ててみないかい?」
その人が差し出してきたのは植木鉢。 緑のつぼみをひとつ、つけていました。
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まだ花は咲いてはいないけれど、 とても綺麗だと青年は思いました。
しかしその花の育て方が分かりません。
「花っていうものは、愛情を込めるだけで勝手に育っていくものさ。ま、この花は ちょっぴり世話が大変だろうけど。でも あんたなら大丈夫」
ほとんど押し付けるように鉢を青年に 渡して、おばさんは去っていきました。
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