最高の抱き心地

要するに、自分は病気なのだろう。
長い人生、誰でも一度はかかってしまうであろう病気。
言葉にするとあまりにも恥ずかしいのであえて避けるが、とにかく幸せな病だった。
脳内いつでも花畑。
そんなわけでオーフェンにとっての幸せの源は、夢のようにふわふわでほわほわだった。
きちんと人の姿をしているが、小動物のように愛らしい。
「クリーオウ」
愛しいその名前を呼ぶ。
すると彼女は、読書の途中だったにも関らず、とてててとかわいらしくオーフェンのそばまでやってきた。
「なに?」
嬉しそうな表情で、首をかしげる。
だが呼んではみたものの、特にこれといった用事はなかった。
それでも無理に用を作るとすれば、抱きしめたいがためにクリーオウのことを呼び寄せた。
理由なんて、それで十分。
不思議そうにしている彼女を、オーフェンは優しく包み込んだ。
その抱き心地に、うっとりする。
温かくてふわっふわ。
小さくて良い香りがする。
(たまらん)
ついつい頬ずりまでしてしまう。
そしてそれらをクリーオウが嫌がらないので、嬉しさは倍増した。
あまつさえ、彼女の方からも身を寄せてくる。
幸せなこと、この上なかった。
甘えてくることが、何よりも嬉しい。
「このまま化石にでもなれたら最高だろうな」
「何百年後の話?」
「じゃあこのまま眠れたら最高」
クリーオウが大人しい時は、脳が休むようにと命令を出しているのかやたらと眠くなる。
安心、というのが大きいのだろうが。
「そのくらいなら付き合ってあげるわ」
彼女もまた同じような心地なのか、聞こえてくる声はすでに眠そうだった。
「このままベッドまで運んで」
自分で歩く気はないらしい。
とはいえ、そのわがままに少しも腹が立たなかった。
それよりも離れると言われた方が物淋しい。
クリーオウの金髪に軽く口付けて、オーフェンは彼女を抱き上げた。







2009.3.5
再会するまではもう何を書いていいのか分からないので、とりあえずいつでも切り上げられるような甘〜くかわい〜いお題を。
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