被害者会議
みなさんこんにちは、ラッツベインです。
今日は父の義姉であるレティシャさんと父の親友兼仕事仲間のハーティアさんが偶然にも同じ日に家へ遊びに来ました。
父さんとお母様と妹は今そろって出かけています。
わたしを含めた三人が顔を合わせると、なんだか疲れた雰囲気に包まれました。
「
・・・この中でいちばんあいつの被害を被ってるのって、誰だと思う
?」
ラッツベインとレティシャの顔を順番にながめ、紅茶をすすっていたハーティアが、唐突にそんなことを呟いた。
そのおかげでそれなりに盛り上がっていたその場が、しんと静まり返ったのはいうまでもない。
ラッツベインは暗い気持ちで、首を右方向に動かした。
すると視線を向けた先にいるレティシャも、同時にこちらを見返してきている。
しばらく見つめ合ってから、ラッツベインは視線を正面(のやや下)に戻し、きっぱりと宣言した。
「それは
確実にわたし
だと思います」
絶対の自信を込めて、彼女が低い声を出す。
この世に自分よりも父親のせいで苦労している人間など、
いるわけがない
。
唯一妹も同じ環境で育ってはいるが、彼女は両親の存在をそれほど脅威とは思っていないようだった。
ラッツベインの場合、二人の外出についていくなどということはあまりしたくないのだが、妹は今日ものんきに両親の
デート
買出しにくっついて行っている。
つまるところ、両親の仲の良さは、娘である自分が誰よりも知っているのだ。
しかしそれほど自信に満ちた答えにも関わらず、すぐさま隣から反論の声があがった。
「あなたもつらいでしょうけど・・・
いちばんはわたし
だと思うわ」
レティシャだ。
彼女もまた、どこか確信に満ちた表情をしている。
その様子に、ラッツベインは顔をしかめた。
一緒に住んでいないレティシャが、毎日顔を合わせている自分よりひどい気持ちを味わうことなどあるわけがないのに。
しかしラッツベインの言葉をさらに否定する声が、今度は左からあがった。
「君たちの意見も分かるけど、
やっぱりぼくがいちばん
だと思うんだ」
声の主はもちろん残っているハーティアである。
彼もまた沈痛な面持ちをしていた。
二人とも表情ばかりか雰囲気まで沈んでおり、彼らの言葉に偽りはないと察することができる。
しかし納得できるはずもなく、ラッツベインはカップをテーブルに置き声を張り上げた。
「ちょっと待ってください。そりゃ、二人の気持ちも分かりますけど、わたしよりつらいはずなんてないですよ。
わたしは毎日あの両親と顔を合わせてるんですよ!?
」
ハーティアとレティシャに向かって、彼女は痛恨の一撃だと思われる言葉を浴びせかける。
反論などできるはずもないと思ったが、予想に反して二人の反応は冷たかった。
つまらなさそうな顔をして、先にハーティアが口を開く。
「・・・ぼくだって、ほぼ毎日のように顔を合わせてるさ。仕事場にはいつも八時間くらいいるから、時間的には君とそんなに変わらないんじゃないかな」
「う・・・」
「あなたは毎日一緒にいるから、
もうけっこう慣れてる
でしょ?わたしの場合はたまに見るからつらいのよ。それに、付き合いの長さはわたしがいちばん長いわよ。なんたって姉ですもの。クリーオウと出会う前のあの子を知っているから、余計に・・・ね」
「うー?」
そう言われると、どちらの状況もそれなりに厳しいように思えた。
だがあっさりと認めるわけにもいかず、ラッツベインはまずハーティアに詰め寄る。
「でも、ハーティアおじさんはうちの両親が一緒にいるところはあんまり見ないんでしょ?じゃあいいじゃないですか」
するとハーティアは哀愁のこもった眼差しをこちらに向け、鼻で笑った。
「
甘い。甘いよ、ラッツベイン
」
紅茶のカップを両手でもてあそびながら、彼は
どこか遠くを見つめ
、続ける。
「
クリーオウがいないから
こそ、こっちの
被害が大きくなる
んじゃないか。あいつは彼女がいれば彼女にべったりだろ?二人で勝手にいちゃついてるんだから近くにいなければいいんだ。でも・・・」
彼は怪談を話すかのように、薄気味悪い笑みを浮かべた。
「
一人のときのあいつは、そりゃ迷惑
だよ。
朝は昨日クリーオウとこんな話をしただのこんなことをしただの、延々とのろけだよ。昼はクリーオウの手作り弁当を自慢げに見せびらかして、一口食べるたびに感想。午後になると早く家に帰りたいって文句ばっかり言って、机の上に並べた写真をずっと眺めてるんだ。仕事が終わると誰よりも早く席を立ち、稲妻のように帰るしね。残業なんてしやしない。その穴を埋めるのはいっつもぼくなんだ・・・
」
「・・・・・・・・・・」
ハーティアの話は、聞く者の気分を暗くさせる。
ラッツベインとレティシャは、
早くもうつむいて沈黙
した。
父はいつも同じ時間に仕事から帰ってくるが、よもやこんな裏があったとは思いもしなかった。
しかし今の話も、全体のほんの一部でしかないはずだ。
もう何年も父と同じ職場で共に働いてきているのだから、今の言葉だけですべてを語れるはずもない。
その証拠に、今までのことを思い出しているのか、ハーティアは
どこか遠くを見つめたまま動きを止めた
。
「わたしは・・・わたしも・・・」
彼を哀れんでいる最中に声が聞こえ、ラッツベインは視線を動かす。
今度はレティシャが、
うつろな瞳をして
誰もいない前方を見ていた。
「あの子のことを本当に好きだったの・・・」
昔を思い起こすような、やや震えた感情のこもった声を出す。
ラッツベインはそれにただ黙ってうなずいた。
知っている。
しかもそれがただの姉弟愛でないことも、薄々と。
「昔は・・・とてもかわいかったのよ。少し生意気なところもあったけど、それすらもかわいくて。そこのハーティアなんか比べ物にならないくらい」
「・・・はいはい」
「それが・・・
あんなの
になっちゃったのよ。その喪失感をあなたたちは理解できる?
大切に大切に種から育てた
お花が
、突然
生ゴミ
になっちゃったようなものよ!しかもたまにわたしの家に遊びに来たと思ったら、わたしをそっちのけでクリーオウにべったりだし。いったい何しに来たのよ。わたしもクリーオウのことは大好きよ。でもどうしてあんなことになったの?何が悪かったの・・・?
」
ほとんど涙声のレティシャを見て、ラッツベインは心から同情した。
父は昔はあんな風ではなかったという話をよく聞くが、それをいちばん良く知っているのは彼女なのだ。
大切にしていればしているほど、失ったときのダメージは大きい。
レティシャの言う通り、自分には両親の仲の良さにはある程度の抗体を持っているが、たまに目にするからこそショックは大きいのだ。
遠い昔とのギャップに、彼女は現在でも悩まされているのだろう。
「
あの子が結婚した当初は、これもしばらくの間の我慢よって思ったわ。何年かしたら落ち着くだろうって。でもね、何年経ってもそのまんま。
期待したわたしが馬鹿だったわ
」
レティシャは期待していたのだ。
オーフェンがまともに戻ることを。
話しているうちに彼女はどんどん表情を暗くしていって、とうとう泣き出してしまった。
しくしくと涙を流しながら鼻をすする。
「
もうなんなのよ・・・・。いちゃつくんならせめて人目のないところでやってよ・・・
」
ちらりとハーティアを見やると、彼は沈痛な面持ちで目をつぶっていた。
小さくうなずいているし、彼もレティシャの気持ちが分かるらしい。
確かに彼女らには同情するが、ラッツベインもまた何も話さないうちに折れてしまうわけにはいかなかった。
「二人の気持ちも良く分かります。でもわたしも・・・つらいです」
ぽつりと――だがしっかりした声で――もらす。
するとハーティアとレティシャは、早くも哀れみの目でラッツベインを見てきた。
あえて語らずともこの二人なら察してくれるだろうが、それでも彼女は口を開く。
もしかすると自分は、この切なさを誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
「
物心ついたときにはもう、
両親はあんな感じ
でした。そりゃ、子供のいる前では変な行為にはおよびませんよ?だけど・・・だけど目撃することだってあるんです。ていうかしょっちゅうです。思春期の娘にとってそれが
どんな苦痛だか分かりますか!?
」
「わかってるわ。だからもう
詳しく説明なんかしてくれなくっていいの!
お願いだからやめて!
」
涙をハンカチで拭きながら、話を聞いていたレティシャが涙ながらに叫ぶ。
しかしラッツベインは制止の声を聞かず話を続けた。
「
子供にとって、両親は親でなくちゃいけないんです。わたしは二人の親の姿を見たいのに、二人は
恋人同士の姿ばっかりを見せて
くるんです。家中のいたるところで
いちゃいちゃいちゃいちゃ
・・・
あなたたちは他人の甘ったるい会話を聞きたいと思いますか?
しかもそれが自分の親ですよ!?
もう勘弁してください。
本人たちはこっそりやってるつもりでしょうが、
しっかり聞こえてくる
んですよね!例えば?例えばですね、『
クリーオウ、今日は一緒に風呂に入ろうぜ?
』『
やーよ。もう、いつも言ってるでしょ
』『
なんだ、まだ照れてんのか?
』『
そーゆーのは恥ずかしいの
』『
綺麗なのに
』とかですね、
あはははは!
」
自分が壊れようとしているのが分かる。
けれどどうしても止められなかった。
語りたいことはまだまだあるのだ。
とにかく笑いたい気分で、ラッツベインはソファの上に立った。
「
父さんはいつでも
クリクリクリクリクリクリ
。
あの人は
朝起きたときからクリーオウ
ですよ。お母様に頼まれて、わたしが父さんを起こしに行くときがあるんですよね。するとどうなると思いますか?
」
「
もういいから、ラッツベイン・・・
」
どこからか悲哀のこもった声が聞こえてくる。
だが彼女はそれを幻聴だと確信し、きっぱりと無視した。
「
父さんはわたしの顔を見るなり、
なんだお前かよ
って顔してむすっとしながら起きるんです。
どうしてですか!?
可愛い娘がせっかく起こしてあげたのにその態度はなんなんですか!?
朝っぱらから人の気分を悪くさせたかと思うと、自分だけ嬉しそうな顔をして
いちばんにお母様に会いに行く
んですよ。会社に行く日なんて出かける時間になると
名残惜しそーにべたべたべたべた
。ってこのまま話し続けると終わりそうにないんでここで止めておきますけど」
ふぅと息を吐いて、彼女は踏み台にしていたソファにぼすんと座った。
語りたいことはまだまだ山のようにあるが、日ごろの鬱憤をほんの百分の一でも吐き出したせいか、思ったよりもすっきりしている。
それぞれ違う方向を見ている二人に、ラッツベインはにこにこして尋ねた。
「というわけで
いちばんの被害者はやっぱりわたしでしょう?
」
期待に胸を弾ませて、二人の意見をじっと待つ。
するとまずハーティアが、生温かい笑顔でこちらを向いた。
「そうだね。ぼくもものすごく被害を受けてるけど、ここは
大人の優しさ
でラッツベインがいちばんてことにしておくよ」
続いてレティシャも、ハーティアと同じような表情でうなずく。
「そうね。わたしも被害者だけど、ここは
大人の優しさ
でラッツベインがいちばんてことにしてあげるわ」
「大人の優しさ・・・?」
あまり良い意味ではなさそうな言葉にラッツベインは顔をしかめる。
けれど大人の二人は、それ以上は取り合ってくれなかった。
「ていうかさ、せっかく被害者だけが集まったんだから、いつまでも不幸自慢しててもしょうがないんじゃない?もうちょっと実になるような話をしようよ。たとえば・・・えーと・・・奴ののろけをやめさせる方法を考える、とか・・・」
「・・・父さんがのろけをやめるなんてありえないと思います。もしあったとしたら二人の関係が冷めるとか・・・。でもそれって、被害は少なくなりますけど子供心としては嫌ですよ」
なんだかんだ言っても、両親の仲が良いことは娘として嬉しい。
他人様の家庭ではけんかが絶えない夫婦もいるらしいが、そんな状況と比べればずっとましである。
・・・・ましかもしれない。
・・・・・ましなような気がする。
「それよりもわたしは少しの間でも安らぎの時間がほしいです。ハーティアおじさん、父さんを十日間くらい出張とかで家に帰ってこない日なんか作れませんか?」
「えー?無理だと思うな。だってあいつ、出張で二泊以上なんてどんな手段使ってでも拒否するし・・・」
「無理ね、そんなことは」
彼の言葉を遮って、レティシャはきっぱりとした口調で言った。
「ずっと昔に、あの子とクリーオウを会話さえさせない状態にしたことがあるのよ。別に離れ離れにしたんじゃなくて、二人の時間を邪魔しただけ。そしたらあの子はわたしの家を破壊してでも彼女を取り戻そうとしたわ。それはもう凄まじい怒りだった。しかもその後しばらくは、いつも以上にべったりだったもの。いつも以上よ!?普段だって信じられないくらいべたべたしてるのに。
そんなことになりたくなれければ
、悪いこと言わないからやめておきなさい」
真剣な目をして、レティシャが忠告してくる。
本気と書いてマジだった。
そんなにも重々しく恐ろしげに語られては、試しにやってみようという気さえ起きない。
「じゃあどうしたらいいんですか?わたしたち」
他に思いつかず、途方に暮れてラッツベインはハーティアとレティシャを見た。
だが彼らも難しい表情をして、それぞれ深く考え込んでいる。
二人ともとびきり優秀なはずなのに、有効な答えを導き出せないようだった。
「ただいま〜」
と、静まり返った家の中に、能天気とも言えるほど底なしに明るい声が響く。
声の主は部屋に入ってくると真っ先にラッツベインの元へ来て、嬉しそうに言った。
「見てみてお姉ちゃん!お母様に買ってもらっちゃった、この髪飾り!」
「あ、お帰りなさい。髪飾りを買ってもらったんですか。良かったですね」
「うん!」
そのキラキラしたアクセサリーを見せびらかす妹の頭を彼女はぽんと叩く。
すると彼女は頭をおさえてますます嬉しそうに笑った。
「お姉ちゃんのもあるんですよ、おそろいで」
「本当ですか?」
「うん!」
妹はうなずいて、スカートのポケットから紙の袋を取り出す。
「あれ、お前ら来てたのか」
それを喜んで受け取っているとき、聞きなれた声が部屋の入り口から下。
いうまでもなく父――オーフェンである。
オーフェンは
母の腰に手を
まわしたまま、それを気にする様子もなく機嫌良さそうに続けた。
「来るんなら来るって前もって言っとけよ。こっちにだって都合があるんだぞ」
「いいじゃないオーフェン。今日はケーキもいくつかよぶんに買ってきたんだし。わたしお茶淹れてくるわね」
「頼むな」
彼の手を離れ、クリーオウはケーキの箱を持って台所へ行く。
家に帰ってきた早々、早速見せつけるかのように母の後姿をオーフェンは
でれーっ
とした顔で見ていた。
客がいるというのに、そのだらしない表情を隠そうともしない。
もとから家にいたハーティアとレティシャとラッツベインの三人は、そのとろけた父に
うんざり
していっせいに口を閉ざした。
「どうした?なんか表情が暗いぞ?」
「いや、君たちは
いつも仲がいいなー
と思ってさ」
その父の問いかけに答えたのはハーティアだった。
しかしそれは第三者にとっては致命的な言葉で、事情を知るレティシャとラッツベインが同時に目をむく。
だが時はすでに遅かった。
「そりゃそーだろ。
俺たちは愛し合っている
んだからな!」
高らかに、破壊力の凄まじいのろけが言い放たれる。
それによって早くもレティシャはテーブルに突っ伏した。
「ティッシ!」
驚いたハーティアは、しくしくと涙を流すレティシャに駆け寄る。
「?」
オーフェンは彼女のことを不思議そうにながめたが、
それだけ
だった。
お待たせと言ってティーセットを運んできたクリーオウに、父は
すべての
興味を移す。
彼はでれでれとお茶を配るのを手伝い、配り終えると自分の隣に密着した状態で母を座らせた。
二人は微笑み合い、それを目撃してしまった
ラッツベインがレティシャと同じく悲嘆
に暮れた。
ラッツベインの隣では、両親の仲の良さを気にした風もなく、妹がどこまでもマイペースに髪飾りをいじっている。
そしてオーフェンは加害者である自覚もなく、被害者のなかで唯一健在なハーティアに目標を定め、攻撃を開始した。
「ま、なんだかんだでお前が来てくれてちょうど良かった。
俺明日、有給取るから会社にそう言っといてくれ
」
「は・・・はあ!?な、なんだってまた・・・それに明日はお偉いさんが来るから絶対休むなって・・・!」
「
そんなの知るか
。俺は明日クリーオウと出かけるんだ。な、クリーオウ」
にっこりと、父は母にしか見せない優しい笑顔で彼女を見る。
「ちょっと困るよ!ねえクリーオウ!」
泣きそうになっているハーティアは、救いを求めるように母に懇願する。
ハーティアの視線を受け止めて、クリーオウは困ったような顔を作る。
「ねえ、こんなにも必死になってるんだし、やっぱり仕事に行ったほうがいいんじゃない?」
「ありがとうクリーオウ!」
彼は女神を拝むかのように涙を流しながらひざをつく。
だがオーフェンは愛しそうに母の頬を撫でた。
それによりラッツベインがまたさらにダメージを受ける。
「いいんだって。あいつは大げさに言ってるだけなんだから。
な、ハーティア
」
オーフェンは笑っていたが、頭上ではラッツベインでさえ理解するのに苦労するような緻密で攻撃的な魔術の構成を編む
。
ハーティアは防御の構成を編みながら、顔を真っ青にして震えながらこくこくとうなずいた
。
「
な?大丈夫だろ?
」
「そうなのかしら」
いまいち納得できない様子で、クリーオウは首をかしげる。
しかし
オーフェンはすかさず話題を変え
、母の関心を引いた。
三人のやり取りを見つめながら、ハーティアはいつもこんな目に合っているのかと思うと、ラッツベインは同情の涙を流した。
レティシャは未だに体を丸めてしくしくと泣いている。
レティシャもハーティアも、自分と同じくらいつらい思いをしているのだ。
この被害から逃れるためには、オーフェンと縁を切るしかない。
だがそれができるのなら、二人とももう何年も前に見切りをつけているはずである。
オーフェンとクリーオウが仲睦まじい夫婦でいる限り、自分たちに平穏は訪れそうになかった。
(2005.12.13)
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