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クリーオウは最近すこぶる機嫌が良かった。 それというのも、あのオーフェンと恋人同士になったからである。 自分でも奇妙な気もするが、何度も確認したことであるし、事実は事実だった。 事実はありのまま受け入れた方が良い。 だからなのか何なのか、もう自分でもわけがわからなくなっているが、クリーオウは彼に会えることを非常に楽しみにしていた。 明確な用事がなくてもオーフェンに会い、話をする。 これまでもそうだったが、それがさらに頻繁になっていた。 少々しつこいような気もしたが、そうしたいからそうしている。 こういうことは、考えるよりも心に従った方がいい。 今日も今日とて浮き立つ気分で、クリーオウは恋人の姿を探していた。 拠点地を適当に歩き回っていると、すぐに見つかる。 オーフェンは木陰になった場所に座り込み、難しそうな表情で何かの書類を読んでいた。 そばには誰もいない。 クリーオウはにんまりして、彼の名前を大声で呼んだ。 「オーフェーン」 ついでに手も振ってみる。 声が届くか際どい距離だったにも関わらず、彼はすぐにこちらに気付いたようだった。 いつもしているように、ほんの少しだけ苦笑して、彼女がそばに行くのを待っている。 オーフェンのもとにたどり着くと、クリーオウは彼の隣にくっついて座った。 とびっきりの笑顔を向ける。 そうしたらオーフェンもきっとつられて笑うだろう。 そう予想したのだが、オーフェンはまゆを寄せて苦い表情を見せてきた。 「?なに?」 なぜ彼がそんな顔をするのか分からなかったので、首をかしげて聞いてみる。 するとオーフェンは、さらに目を逸らした。 「なんつーか、やけに機嫌がいいなと思って。そういう時はたいてい何か裏があるんだよな」 嫌な思い出でもあるのか、オーフェンは目を逸らしたままうめく。 つられて、クリーオウも渋い顔を作った。 せっかくこちらは上機嫌でいるというのに、そんなことを言われても嬉しくない。 「わたしって、おねだりするときしか笑わない?」 「ん?そーでもないけど……」 「そーでもないけど?」 「今回のはなんか裏がありそうに見えてな」 またもや苦笑して、オーフェンは彼女の頭をぽんぽんと叩いた。 「んで?今日は何が目的で?」 「やっぱり裏があると思ってるんじゃない!」 わめいて、クリーオウは両手をばたばたと振りまわす。 それにオーフェンは迷惑そうに身を引いて、じっとこちらを見てきた。 「あーはいはい、わかったから。悪かったよ」 投げやりに言って、ひらひらと手を振る。 クリーオウはひとしきり暴れ終え、むっとして木にもたれかかった。 オーフェンの態度は、恋人同士になる前とあまり変化がない。 もしかして嬉しいのは自分だけなのかと、やや不安になってくる。 憮然してと木にもたれていると、しばらくしてオーフェンが顔をのぞきこんできた。 「もしかして本当に裏がなかったとか?」 「悪い?」 彼の質問に、刺々しく返す。 しかしオーフェンはふっと笑うと、こちらの髪を撫でてきた。 その感触は、とても心地良い。 「オーフェン」 「やっぱおねだりか?」 呆れたように、オーフェンは半眼になる。 「だめ?」 「……言ってみな」 「キスして」 オーフェンの黒い瞳を見つめて、ねだってみる。 彼はきょとんとした。 いつもは吊り上った目をめずらしく丸くして、まばたきを繰り返す。 「だめ?」 もう一度同じ言葉で尋ねる。 と、オーフェンはきょとんとした表情のまま、指で頬をかいた。 「だめじゃないけど。……いいのかなと思って」 「どうして?」 「最近けっこうしてるから、かな」 「どういう意味?」 「あんまりやりすぎてもお前が嫌がるんじゃないかと。だから、がまんできるときにはがまんしとこうかと」 「ふうん?」 彼にもいろいろあるらしいが、よく分からなかったのであいまいな声を出す。 その間にも、オーフェンはゆっくりと近づいてきた。 それを、どこかぼんやりとした頭で理解する。 「お前からしてきてもいいんだぞ?」 「オーフェンからしてほしいの」 ささやきながら、目を閉じる。 それとほぼ同時に、オーフェンと唇が重なった。 2009.7.17 コメディかつラブいのを書きたい気分でした。 クリーオウ⇒そっけない(ような)オーフェンでキスが自分テーマ。 |
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