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平日の朝は何かとあわただしい。 彼が仕事へ行くまでの時間は、あってないようなものだ。 身支度を整え、朝食を食べ、準備をする。 たったそれだけのことなのだが、あまりゆっくりしていられる時間はなかった。 とはいえ、朝食を一緒に食べて、話しをする時間くらいはある。 クリーオウは目玉焼きの黄身をフォークで潰しながら、目の前にいる夫に笑いかけた。 「昨日ね、夢にオーフェンが出てきたの」 「ん?」 唐突な話題だったからか、オーフェンはきょとんとする。 口をもぐもぐさせて飲み込んでから、不思議そうに聞き返してくる。 「夢?」 「うん。わたしとオーフェンが再会したときの夢」 「ああー」 何か気恥ずかしいものがあるのか、彼は言葉を濁して目を逸らした。 「まぁあの時はびっくりしすぎてわけ分かんなくなってたからな……」 「わたしの夢は実際の再会じゃなくてね、ほんとにただの夢なの。だからパラレルよね」 「ふーん。どんな?」 興味があるのか、それともとりあえず聞いておこうというのか。 あまり興味のあるような声ではなかったが、彼は促してきた。 「まずお花畑でね、地人兄弟が出てきたわ」 「ふーん?」 言いながら、夢に出てきた光景を思い出す。 丘というよりは土手のような場所の裾で、彼女はなぜか花冠を作っていた。 しかも地人兄弟をそばに従えてである。 「お花畑はホントに色とりどりでたっくさん咲いててね、パステルカラーだったわ。お花も多すぎるし、メルヘンっぽく」 「ほぅ」 空は暗かった気がするが、夢なのでそんなものなのかもしれない。 「で、そこはそれだけで終わっちゃったんだけど」 「何だそれ」 拍子抜けしたように、オーフェンが肩をコケさせる。 クリーオウも対抗して口を尖らせた。 「そんなこと言ったって、夢なんだからしょうがないじゃない」 「そらそうだけど……。俺は?」 どこか残念そうな顔で、オーフェン。 最初に期待させたからだろうか。 それに彼女はにっこりと笑った。 「次はいきなり場面が変わっちゃってね。というより、わたしが覚えてないだけかもしれないけど」 「俺の登場か?」 「そうなの。わけ分かんないんだけど、いきなり再会なのね。目が合った瞬間に二人で駆け寄って抱きしめ合ってたし」 「……はは」 彼は苦笑いをすると、ごまかすようにコーヒーに口をつける。 実のところ、その動作がどういう意味を表すのかはわからなかった。 不思議に思って首をかしげながら、続ける。 「でも、こっからがすごいとこなのよ!」 「……というと?」 良い予感がしなかったのか、彼があまり聞きたくなさそうな声を出す。 コーヒーカップで半分顔を隠していた。 「うん、あのね。二人して号泣して抱きしめ合ってるんだけど」 「号泣……」 「オーフェンたらいきなりわたしにキスしてきたのよ!それはもういやらし〜く」 「…………」 「わたしはびっくりしてるんだけど、まぁいいかなーってされるがままになってるの。そんな夢だったわ」 「…………」 夢の中で彼女は、いきなりキスしちゃうの?と思っていた。 オーフェンいくら何でも再会したばっかりなのにわたしたち、とか何とか。 でもクリーオウは嬉しかったので、ただ彼にしがみついていた。 夢なのだが。 彼女はにっこりと微笑んで、オーフェンからの反応を待つ。 するとどういうわけか、彼は少々悩むような表情で言ってきた。 「……欲求不満か?」 ぽつりと、一言。 それにクリーオウは顔を真っ赤にして立ち上がった。 「なんでっ!?」 「いや、夢の中でキスとか欲求の表れだろ?けど、あれじゃ足りなかったか。悪かったな」 「そんなんじゃないのよ!変な風に考えないで!」 オーフェンとは中略なのに、そんな風に思われるなんて恥ずかしいにもほどがある。 クリーオウはにらみつけて思い切り抗議するが、逆に彼は嬉しそうにしていた。 「ちょっと今は時間がないからできないけど、キスくらいならいけるだろ。おいで」 「おいでって……」 普段は言わないような甘い誘い方に、不覚にもときめいてしまう。 「せっかく素敵な夢見たのに」 うめきながらも、彼女は誘われるままのこのこと彼のひざの上に座った。 こういうことが、実は嫌いではないから困る。 クリーオウは彼の首に腕をまわし、間近で黒い瞳を見つめた。 「欲求不満とかではないけど、でも愛してほしいのは本当」 言って、彼女の方から軽く口付ける。 目を開けると、オーフェンは苦笑してこちらを見つめ返してきていた。 その反応が気に入らなくて、クリーオウはむっと口をとがらせる。 けれど不満を口に出す前に、唇をふさがれた。 優しい抱擁付きだった。 2009.2.27 久しぶりに甘すぎた(笑)!絶対新婚さんだ〜。 上記のような再会を夢で見たので、せっかくだから語らせてみようかと。 物書き(似非)の性分でしょうか。 |
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