こんなわがままを言ってしまうのは、自分と小さい子供くらいだろう。 何度考えてみても馬鹿げていたし、相手には酷く無駄なことをさせてしまう。 それでもクリーオウはいつものように彼を頼ってしまっていた。 今日もだ。 眠い目をこすりながら、片手でディープ・ドラゴンを抱きつつ彼のいる居間へ向かう。 良く晴れた午後の居間は、明るい光で満たされていた。 寒い季節ではあるが、余分な火を焚かなくてもすむくらいに部屋は太陽で暖められている。 そのいちばん日当たりのいいソファに座って、オーフェンは新聞を読んでいた。 コーヒーを片手に、なんだか楽しそうにしていた。 こんな彼の幸せな時間を壊してしまうのは酷だろうか。 悪いと思いつつ、クリーオウは彼の名前を呼んだ。 「オーフェン」 「うん?」 オーフェンは機嫌の良さそうなまま、こちらを見た。 「お昼寝……したいんだけど」 本当に馬鹿なことを言っている。 昼寝くらい自分ひとりですればいいものを、なぜわざわざオーフェンに告げるのだろうか。 ベッドの準備は万端で後は眠るだけなのに。 けれどそのただ眠ることが、彼女はできなかった。 レキがいても、オーフェンが一緒でなければ眠れない。 それなら昼寝などしなければいい――それも充分すぎるほど承知していた。 だから彼女はわがままなのだ。 「わかった」 しかしオーフェンはそのわがままを否定することなく、笑顔のままソファから立ち上がった。 このわがままを告げるのは昨日今日に始まったことではないので、もうあきらめているのかもしれない。 「今日は昼寝するにはもってこいだな」 「そうね」 オーフェンの軽口に頬が緩む。 責めるようなことを言わないので、彼女の中の罪悪感は少しだけ和らいだ。 なんとなく彼の腕にレキごとしがみついて、寝室までのごく短い距離を歩く。 こういうところも、どうしようもなくオーフェンに甘えている。 寝室まで来ると、クリーオウは彼の腕から離れてダブルベッドの上に横たわった。 レキを隣に寝かせてから、干したての布団をかぶりもぞもぞと体勢を整える。 オーフェンはそれを見ながら、いつものようにベッドのわきに腰掛けた。 優しく笑うと、彼女の金髪にぽんと手を乗せる。 本当に子供扱いで、それが嬉しくて困ってしまう。 クリーオウは目を閉じて、彼の手に自分の手を重ねた。 呼吸を意識して、体の力を抜いていく。 安心して眠れるということがどれほど貴重なことか、今なら分かる。 彼女のためにオーフェンの時間が犠牲になるのは、彼にとっては理不尽だろうが。 クリーオウはおやすみと胸中で呟いて、安らかな眠りに落ちた。 (2008.12.20) ゆっくり眠ることがどれほどありがたいことかとか、オーフェンがいると安心とか、そんなことを色々語り合ったりしようかなと思ったのですが。 でもなんかやーめた、と。 結局変な作品に成り下がりました。残念。 |
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