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風呂からあがり、髪の毛をタオルでふきつつ寝室のドアを開けると、彼は部屋の暗さに驚いた。 誰もいなければ暗いのは当然だが、今日は彼よりも先にクリーオウが来ているはずだった。 彼女が別の部屋にいれば何もおかしいことはないのだが、他に灯りがついている部屋はなかったような気がする。 一瞬誰もいないのかと思いかけたが、ベッドの上に静かに腰かけているシルエットを捕らえる。 「どうしたんだ、灯りもつけないで」 手っ取り早く、魔術で部屋を明るくしようと呪文を唱えようとする。 「あ、だめ」 途中で遮られ、オーフェンは疑問に思いつつも彼女のそばまで寄っていった。 いつもと様子の違う彼女に、つい期待してしまう。 が、クリーオウは自分ではなく、窓越しに何かを熱心に見上げていた。 「何かあるのか?」 いつもはうるさいほどしゃべる彼女なのだが、めぞらしいこともあるようだ。 同じようにオーフェンも外を見上げると、夜空の色を変えてしまうほどに眩しい光を、月が放っていた。 「満月か」 そういえば灯りなしでも歩ける程度に光が差し込んできている。 「すごいわね。月がこんなにも明るいって思ったのは久しぶりだわ。昼間はちょっと曇っててどうかなって心配してたんだけど、ちょうど晴れてきたみたいだし」 「ふーん」 月と同じ色の湿った髪を撫でながら、適当に返事をかえす。 「気温も低くなってきたし、お月見するのに最適ね。風が気持ちいいし、月がすごく神秘的」 「ふーん」 返事はするが、内心はどうでもいいと思っている。 髪をふいていたタオルを無造作に置き、クリーオウをゆっくりと横たえる。 だがその間も彼女は、魅入られたように月を見つめていた。 「こら」 やや不機嫌になり、クリーオウの頬を両手で包む。 すると彼女は目をぱちくりさせ、こちらに焦点を結んでくれた。 「月じゃなくて俺に夢中になれよ」 命令口調で言うが、実際にはお願いである。 すると彼女はくすくすとおかしそうに声を出す。 その笑顔を見て、オーフェンはすぐに満足した。 (2008.9.14) 中秋の名月の日に書いたもの。月を見ながら。 フルムーンていうとBBBですよねー。 ごめん、もう読んでないの。 素材 |
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