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遊園地で遊ぶのに休日を選んだのに特に理由はなく、単に自分の仕事が休みだったからという普通かつまともな思考からだった。 しかし自分達は休みの日の娯楽場を少々甘く見ていたのかもしれない。 というか、久しぶりであまり考えていなかったのいうのが正しいだろうか。 ともあれ、こんな休みを選んでしまったオーフェンたちは、同じことを考えた人々によって不自由さを余儀なくされた。 □ 落ち合う場所なんか決めていなくて □ そもそも、身動き取れないほどの人ごみの中で、離れようとしたのが間違いだったのだろう。 オーフェンはクリーオウが飲み物を買いに行きたいと言うので、軽く「ここで待ってる」といってしまった。 彼女もまた、いつもはわがままなくせに今日に限ってついて来いとは言わず、一人で買いに行ってしまった。 十五分ほど待って、ようやく気づく。 オーフェンが待つといった場所は、ベンチが何十メートルにもわたって設置されている何の特徴もない休憩所だった。 道の端とはいえ、人通りは激しい。 それに彼女も、大した確認もせずさっさと売店に向かってしまった。 「見つけられんのか、これ」 あたりを見回しながら、嫌な予感が口をつく。 かといって、オーフェンが動けば更に見つけにくくなるだろう。 不安が募るが、クリーオウが戻ってくるのを忍耐強く待つ。 しかし運の悪いことに、パレードが来るからとか何とか告げられ、強制的にその場を移動させられた。 抗議しても良かったが、まわりの様子から察するに、むしろ抗議する方が間違っているらしい。 オーフェンが先ほどまでいた場所を囲うように、すでに人だかりができていた。 こんな中でクリーオウが自分を見つけられるわけがない。 どうするべきか判断に迷うが、今ならまだ売店の列に並んでいるかもしれない。 オーフェンは後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にした。 ようやく飲み物を購入して、元いた場所へ戻ろうとすると、オーフェンのいるはずの場所は、すでに数え切れないほどの人で埋まっていた。 パレードでも始まるのか、係員が客を誘導している。 「これってどうなのかしら・・・」 呆然と独りごちる。 いつもならクリーオウがどこへ行くにも彼はついて来てくれるのだが、今日はそれがなかった。 人ごみで疲れたのだろうかと、休んでもらうつもりで離れてしまったのが間違いだったのかもしれない。 たくさんの人の中からオーフェンを見つけるのは得意だったが、それにしたって限度がある。 彼もまたクリーオウの髪色で大勢の中から見つけ出してくれることもあったが、これだけ人がいれば金髪もさほど目立たない。 注意深く周囲を探してみるが、オーフェンの姿はどこにもなかった。 こうなってしまえばもう、相手を信じるしかない。 クリーオウが彼に対して、何を話したか。 何を食べたいと言ったか? 何に乗りたいと言ったか? 何を買いたいと言ったか? オーフェンは彼女がどこへ行くと考えるのだろうか。 今からの行動を自分もしっかりと考えなくてはいけない。 きっと最初で最後のチャンスだ。 間違えれば、今日はもう会えないと思って良いだろう。 予約した宿に戻るだけだ。 そこは簡単に言えば何もないところだった。 遊園地の片隅の、海の見える場所。 アトラクションやレストランなどは近くになく、喧騒など程遠いところだった。 目いっぱい遊ぶつもりで来た人々は、この何もない場所を横目で見やって通り過ぎていく。 ほとんどの人間にとって、ここは意味のない空間なのだろう。 ただ、海が広がるこの景色は、心の底まで癒しを与えてくれそうだった。 ここは以前クリーオウと一緒に来たとき、「遊園地って遊ばなきゃ!って思う場所だから、そんな中でゆっくり過ごすのって、実はすごく贅沢なのよね。普段じゃもったいなくてできないわ」と彼女が笑って話していた。 たしかにそうなのだろう。 一瞬足を止めることはあっても、長々と居座っている人間などいない。 彼女とはぐれてしまった場所とは違う、広く間隔を取って置かれたベンチのひとつにオーフェンは腰かける。 ここなら、何時間でも待っていられそうだった。 焦る気持ちをしまいこんで、深く深呼吸をする。 時間がゆるす限り、オーフェンはここにいようと覚悟を決めた。 だが、思いがけず早くに、誰かが近づいてくる。 気配でわかる。 これはクリーオウだ。 オーフェンは小さく笑みを浮かべ、海を眺めたまま左手だけを後ろへやった。 その手に彼の良く知った細い指が触れる。 「なんか……」 驚いたような彼女の声。 彼もそれは思ったが、うなずくだけにする。 クリーオウを隣に座らせ、二人は十分間だけこの贅沢な時間を味わった。 (2008.9.12) 大勢の中から見つけられるか?が書きたかったんだっけ? もう覚えてないです。場面転換のわりに短い(汗 携帯がない時代ははぐれたときどうしたのでしょう。 ・・・迷子センター? 素材 |
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